急成長企業経営者が毎朝従業員にかけている言葉とは?
仕事をしていると、物事がうまく進まなかったり、結果が出なかったり、思ったように人が動いてくれなかったり、といったことが往々にしてある。そんな時、これまでとは違った新しいアイデアや考え方に触れてみることが、状況を好転させるきっかけになることがある。
『社長の言 –KOTOBA–』(松村洋平著、アチーブメント出版刊)は、自分なりに精一杯やっているのに結果が伴わない人に、新たな視点を与えてくれる。
■急成長企業の社長が従業員にかけている言葉
著者の松村洋平さんが率いる株式会社誠進堂は、法人化した2018年以降、外壁・屋根塗装、内外装工事やリフォームの分野で急成長を続けている新進気鋭の企業。本書はそんな誠進堂で松村さんが毎朝従業員にかけている言葉から成っている。
もちろん、松村さんには従業員に説法をするつもりなどない。あくまで自己満足でやっていることなのだが、従業員からは感想が寄せられたり、従業員同士のディスカッションが生まれたり、また他社の経営者にもその言葉が届くなど、好意的に受け止められつつ広がりを見せているという。
それは、松村さんの言葉のエネルギーと前向きさによるものだ。ここでは本書から松村さんの言葉を紹介する。
■営業パーソンの憂鬱を救う言葉
誰よりも断られる
うまくやろうとすると、
なかなかうまくいかないのが営業である。
本来営業というのは、
非常にシンプルで簡単なもの。
誰よりも断られる肚を決めれば、
不思議と簡単にうまくいく。
ここをおろそかにして苦戦している者も多い。
コツは、断られるたびに
「よし、よし!前進しているぞ」と思うこと。
常に軽快に!リズムよく! 先手の笑顔で!(P25より)
営業にとって断られるのは憂鬱なことだが、断られるということはそれだけチャレンジしているということ。チャレンジの先にしか成功はないのだから、断られたとしても成功にはしっかり近づいている。それに気づけば、断られたとしても次のチャレンジに向けて気持ちを切り替えることができる。
■大多数と同じことをやっても大多数と同じ結果にしかならない
変わっているくらいでちょうどよい
8割以上の営業パーソンが苦戦している。
約7割の中小企業が赤字経営。
社会に出た8割以上の大人が夢や希望をもてていない。
だから普通じゃあかん。
普通に仕事したらあかん。
意識から、基準から、熱意から、志から、
普通じゃあかん。
ぶっ飛んでいて、
変わっているくらいがちょうどいい。(P29)
自分の心地いいと感じる程度に仕事をしていては、大半を占める「苦戦している層」と同じ結果になる。だから、仕事で成功したいならどこかで、どうにかして、大多数からはみ出すことが必要という松村さんのメッセージである。
■最大の失敗は「行動しないこと」
失敗
昨日よりちょっと良くなったら成功。
毎日ちょっと成功する。
今までの自分より良くなったら成功。
その心が成功を呼び寄せる。
成功とは少しずつ続くもの。
唯一、失敗があるとするなら、行動しないこと。
人と競争しない。人と比べない。
比べると失敗を恐れ行動しなくなるから。
行動しないこと。それが最大の失敗である。(P186より)
成功の条件を高くしすぎると、行動を起こしにくくなってしまう。ならば、「昨日の自分より良ければ成功」としておけば、どんな時でも行動を起こしやすい。少しずつ着実にステップアップするには、「行動しないこと」だけを自分に禁じて、他者と比べずに地道に努力するのみ。そんなシンプルな真実に気づかせてくれる言葉である。
◇
本書で語られる言葉は決して「社長が従業員に上から教えを垂れる」といった類のものではなく、同じ目線で励まし、アドバイスを送っているような響きがある。
「営業」「仲間」「リーダー」「感謝・感動」「遊び心」「成長・成功」「仕事・人生」「言葉」。さまざまなテーマについての松村さんの言葉の中には、自分の心に引っかかるものが必ずあるはず。
向上心はあるのにそれが結果に結びついていない人、仕事で思ったような結果が出ない人、熱意をどこに向けていいかわからない人、やりたいことが見つからない人……。本書から自分にとっての救いの言葉を見つけてみてほしい。