だれかに話したくなる本の話

初心者でも優良株がわかる!投資熱高まる今だから読むべき珠玉入門書

「貯蓄から投資へ」
こんな言葉がメディアを賑わせるようになって久しい。

新NISAが始まり、友達や家族、同僚との話の中で投資が話題になることが増えたと感じる人は多いはず。日経平均株価がバブル期以来の高値をつけたと聞けば、「自分も投資をやってみたい」と興味を持つこともあるだろう。

給料は思うように上がらず、銀行にお金を預けておけば金利がついて増えていった時代はもうとっくに終わっている。それでも物価は上がっていく。投資の必要性自体は大多数の人が感じているのではないか。

でも、投資についての知識を得ようとネット検索をしても、そこにあるのは本当に欲しい情報ではなかったりする。つまり、どんな手法で、どんな観点で投資をすればお金は増えていくのか、についての情報は手に入らない。だから、結局投資を始めるのをためらってしまう。

■今が投資を始める最高のタイミングである3つの理由

『そろそろ投資をはじめたい。』(渡部清二著、サンマーク出版刊)は「今が投資を始めるのにぴったりのタイミング」と語る著者が、初心者向けに株式投資のポイントを教えてくれる。

著者の渡部氏が「今が投資を始めるチャンス」と語る理由は3つ。
・政府の資産倍族計画発表と投資の新制度「新NISA」が発足
・デフレからインフレへの転換
・過去にこの2つの条件が揃った1952年に日経平均株価はもっとも値を上げた

新NISAは政府が旗振りをして国民の余剰資産を投資に振り向け、個人資産を増やそうという試みだが、実は政府は過去にも一度、似たような取り組みをしている。1951年の投資信託制度発足がそれである。戦後の財閥解体で放出された大量の株を買う仕組みとして発足した投資信託だが、これもまた「国民に投資を促す」という政府の取り組みだった。

おりしもこの時期は朝鮮戦争がはじまり、デフレからインフレに転換した時期である。国民が投資に向かい、経済はインフレ。この2つが揃った結果、日経平均株価は1950年6月に戦後最安値をつけたあと、1953年の高値まで2年8カ月で約5.5倍になった。

■今日から始められる「優良銘柄」を見つける眼力トレーニング

ただし、これらはあくまで「投資を始める環境条件が揃っている」という話。手持ちの資金を株に突っ込めば誰でも利益が出るわけではない。今年8月には株価が大きく下げ、こわくなって株を手放してしまった入門者も少なくない。インデックス投資はともかく、個別銘柄を買うのであれば、そこにはやはり、銘柄を見極める目が必要だ。

本書では株式投資で利益をあげるために、マインドセットをデフレ時代の「節約脳」から「投資脳」への切り替えることの重要性について解説している。これから伸びる銘柄に気づくヒントは、日常の中に転がっている。それに気づけるかどうかが、株式投資で利益を出すことができるかどうかを分けるのである。

たとえば、現在はインフレで物価が上がっている。スーパーに置かれている食材の価格のあまりの高騰に、品物を買うのをためらったことがある人は多いだろう。でも、中にはどんどん値上げしても客足が落ちないばかりかどんどん客が増えていくモノやサービスもある。こういうモノやサービスは今後も成長が続くと考えられる。

また、「どこに行っても見かけるもの」に注目するのも、優良銘柄を見つける秘訣だ。たとえば、案内板、自動ドア、居酒屋の鍋料理で使われる固形燃料。今まで関心を払ってこなかったが、よく見るとどこにでもあるものを調べてみると、特定の会社がシェアを独占していることがある。こうした企業の企業価値は当然下がりにくい。このように「独占」を探すクセをつけておくと、投資にはプラスとなる。

本書では、株式投資についての基礎知識だけでなく、株式投資をする際に必要な眼力を養う方法が多く解説されている。

投資を始めたいけど、怖い。何から始めていいのかはわからない。損はしたくない。こんな心理から投資をためらっている人は、本書がその恐怖心や不安を和らげてくれるはず。

投資について知り、そして成果を出すために。本書はもっともすぐれた入門書だといえる。

そろそろ投資をはじめたい。

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