「落ちこぼれフリーター」から一転!人生を変えた天職
仕事で充実感や達成感を得られるかどうかは、人生全体の満足度と直結します。だからこそ、私たちは「自分に合った仕事」「強みを生かせる仕事」「楽しい仕事」を探しますが、それは誰もが手にできるものではありません。
『根性なしがWEBデザイナーに憧れて』(幻冬舎刊)の著者で日本デザインスクール校長として活躍している久保なつ美さんも、求める仕事と現実のギャップに苦しんだ一人だったそう。彼女はいかに「天職」ともいえるWebデザインの仕事と出会い、向き合ってきたのでしょうか。
■「落ちこぼれ」だった私が出会った天職
――『根性なしがWEBデザイナーに憧れて』では久保さんの半生がつづられています。まずはこの本を通じて伝えたいことを改めて教えていただければと思います。
久保:この本を書くとき、最初は「好きなことを仕事にして生きよう」というようなタイトルを考えていました。ただ、私自身特別な才能も根気もなくて、全然ダメな人生を送っていたのが、Webデザインの仕事と出会って、それを諦めずに続けてきた結果、今につながっています。
だから、「好きなことで生きよう」という抽象的な内容よりは、私がこの仕事と出会って、どうにか食らいつくことで成長できた経緯をそのままお伝えする方が読者の方に伝わるものがあるんじゃないかと思ったんです。「こうした方がいいよ」というアドバイスというより、ストーリーから何かを感じ取ってもらえればいいと思っています。
――夢や目標を持てずにいる人が勇気を持てる本だと思いました。
久保:ありがとうございます。私としては、今運営しているデザインスクールの生徒の方々を念頭に書きました。
というのも、クリエイターを目指しているんだけど、なれるかどうか不安だったり、自分が作るもので失敗するのが怖かったり、といった人は少なくありません。そういう人が勇気を持てる内容にしたいと思っていました。
クリエイティブな仕事って正解がないですから、「自分にできるのか」っていう不安はつきものですし、私も不安でした。それでも続けてみたらどうにかなりましたし、続けることでクリエイティブな仕事ならではの喜びも味わうことができました。そういう喜びだとか、クリエイティブな仕事を通して自分が成長できること、自信を持てることも伝えたいです。
――本書を読むと、久保さんはWebデザイナーになってからも何度も壁に突き当たっています。そこで挫折せずに続けてこられた理由はどこにあるのでしょうか。
久保:やっぱり作るのが好きなんですよね。ただ、それが仕事になった時に、「納期」だったり、作ったものの「クオリティ」といった点でプレッシャーを感じたりもしますから、少しの間離れていた時期もあったのですが、やっぱり作ることが楽しくて戻ってきてしまう。クリエイティブの仕事には、他の仕事では埋めがたい楽しさがあるのだと思っています。
――Webデザインの仕事に興味を持ったきっかけはどんなことでしたか?
久保:フリーターだった時期があるのですが、初めてやったアルバイトが配膳の仕事だったんです。単に時給がいいという理由で始めたのですが、立ち仕事で足が痛くなるんです。だから、今度は座れる仕事、できれば座って飲み物を飲んだりお菓子を食べたりできる職場がいいなと思っていました。
それで求人を見ていたら、クリエイティブに関わる仕事って服装も自由だし、オフィスも居心地がよさそうで、こういうところなら働けるかな、ということでWebデザインをやっている会社に応募しました。だから「目指していた」という感じじゃないんですよね。「働きたくない」というところから始まって、「これならできるかも」ということで行き着いたので。
(後編につづく)