だれかに話したくなる本の話

AI時代に必要とされる人材の必須能力「問いの設定力」の正体とは

ChatGPT を代表とする生成AIにの登場によって、「考える」という人間がもつ重要な営みの一部をコンピュータが代替しつつある時代になった。生成AIを適切に利用することで、アイデアを無数に生み出すことが可能になる反面、多くの人がこれを利用することで類似したアイデアが溢れる可能性もある。そこで大事なのが、クリエイティビティのベースには「自分らしさ」が必要であり、それを深掘りするための「問い」が大切になる。

■問いの設定力が人生の質を決定づける

『AIが答えを出せない 問いの設定力』(鳥潟幸志著、クロスメディア・パブリッシング刊)では、グロービス提供の動画学習サービス『GLOBIS 学び放題』の事業リーダーを務め、自らもグロービス経営大学院や企業研修で教鞭を執る鳥潟幸志氏が、「問いの設定力」とは何か、その鍛え方を紹介し、日々変化する時代の中で「自分らしく生きていくために問いをどのように役立てることができるのか」を解説する。

鳥潟氏が日常業務で生成AIと深く関わる中で、3つの気づきがあったという。1つ目は、生成AIに入力する「問い」の質によって、引き出される回答に大きな違いがあること。2つ目は、良い問いを入力し、良い選択肢が提示されたとしても、最終的にそれをどのように判断するかは人であること。3つ目は、生成AIが機械的に生み出した答えに我々は従いたいか?という疑問であり、やはり魅力あるリーダーが語りかける内容についていきたいと思うのではないかということ。

生成AIがどれだけ正しい戦略を立てて、実行計画を提示しても、それを受け取る人たちが前向きに捉えて実行しない限り意味がないといえる。なので、AIが普及した時代だからこそ、人が人に与える影響、人を巻き込むリーダーシップの重要性が高まると鳥潟氏は述べる。

これらを踏まえて、AI時代に求められる能力は、「問いの設定力」「決める力」「リーダーシップ」の3つであり、これらの能力の質に大きな影響力を与えるものが「自分らしさ」になる。良い問いを生み出すのも、物事を決めるのも、周囲を巻き込むのも、外の世界に一般的な解がありそれを活用するのではなく、本人の内面にある価値観が大きく影響するからだ。

本書のキーワードである「問い」には、4つの効用がある。
1つ目は思考を促すこと。
2つ目は行動を促すこと。
3つ目は次の問いを促すこと。
4つ目は自ら隠れた声に気づかせてくれること。

コーチングの世界で著名なアンソニー・ロビンスは「問いの質が人生の質を決める」という言葉を残している。問いを自分に投げかけることで、思考が変わり、行動が変わり、人生が変わるということだ。

仕事やプライベートでも、生成AIに触れる機会は増えた。便利な一方で、人間がどのように上手く生成AIを使うか、という能力が求められるようになった。本書から、「問いの設定力」と「自分らしさ」について考え、AIやテクノロジーを使いこなし、自分らしく生きるための術を身につけてはどうだろう。

(T・N/新刊JP編集部)

AIが答えを出せない 問いの設定力 AFTER AI時代の必須スキルを身に付ける

AIが答えを出せない 問いの設定力 AFTER AI時代の必須スキルを身に付ける

本書は、日々変化する時代の中で、「自分らしく生きていくために問いをどのように役立てることができるのか」を解説します。

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この記事のライター

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T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

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