だれかに話したくなる本の話

知っているのに訳せない…翻訳者泣かせの英単語とは?

いよいよゴールデンウィーク。
せっかくのまとまった休みということで「今年は海外に」という人も多いはず。海外に行くなら少しばかり練習しておかないと、ということで英語を勉強している人もいるかもしれない。

よく言われているように日本人は英語が苦手。世界中で何億人も使っている言葉なのだから、そんなに難しい言葉ではない、という人もいるが、どんな言葉であれ勉強すればするほど「難しさ」もまた見えてくるものなのである。

◾️翻訳者泣かせの「upset」という英単語

そんな、英語非ネイティブの日本人には少しばかり難しい英語表現について、すっきりと解説してくれているのが『なぜ日本人はupsetを必ず誤訳するのか ~ 英語のフレームで考えるということ』(アン・クレシーニ著、アルク刊)である。

「upset」という言葉は、英文を読んでいるとよく目にする。「人を精神的に動揺させる」という意味で覚えている人が多いのだが、この「upset」、プロの翻訳者でも訳すのに苦労する言葉なのだとか。

というのも、「精神的な動揺」が引き起こされる原因は様々だ、驚いて動揺することもあるし、悲しみや苦しみ、あるいは怒りや落胆で動揺することもある。「upset」はこれらをひっくるめて表現できる言葉なのである。

だから「I’m really upset with you.(あなたに本当に怒っている)」という使い方もできるし、「I’m so upset that you lied to me.(あなたに嘘をつかれて悲しい)」という使い方もできるのだが、様々な負の感情が「upset」という一語の中に入り混じっているため、正しい訳とそうでない訳の線引きが難しいのだそう。ぴたりと言い表す日本語が存在しない、厄介な単語なのだ。

◾️「run」「get」「give」…ポピュラーな英単語のポピュラーではない使い方

さらに日本人にとってポピュラーな英単語にも、ちょっとした落とし穴を含んでいるものがある。たとエバ「run」。これを「走る」や「運営する」とだけ覚えていると、「run」を使った多彩な英語表現に対応できなくなってしまう。

というのも「run」は「I ran up a huge phone bill when I was in college.(大学時代、電話料金がめっちゃかさんでいた)」「Bad eyesight runs in my family.(目が悪いのは遺伝だ)」という使い方もされる。「〇〇の家系だ、遺伝だ」、「請求額がかさむ」という表現でも、「run」は使われるからである。

たくさんの意味を持つ英単語はとっつきにくいと感じるものだが、こうした言葉は逆に身につけてしまうとネイティブっぽい英語表現をできるツボでもある。「run」 だけでなく「get」や「give」も、この種の英単語の仲間だといえる。

本書は言葉の違いを乗り越えることの楽しさと難しさ、そして限界についての一冊だ。旅行や仕事、留学などで英語を学ぶ必要がある人は手に取ってみると、これからの勉強がより有意義なものになるはずだ。

(新刊JP編集部)

なぜ日本人はupsetを必ず誤訳するのか ~ 英語のフレームで考えるということ

なぜ日本人はupsetを必ず誤訳するのか ~ 英語のフレームで考えるということ

日本に来て四半世紀。
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