だれかに話したくなる本の話

「80歳でも元気な人」に共通する生き方とは

健康でいられるのであれば、いつまでも食事をおいしく食べられて、自分の足で歩いていられるのであれば、できるだけ長生きしたいもの。体が不自由になったり寝たきりでは、長生きしてもしかたない。

このあたりが現在60歳前後の人の人生観、死生観の主流ではないだろうか。人生100年時代の60歳はまだまだ若い。しかし、10年後はどうなっているだろう。

■80歳でも元気な人、60代でもヨボヨボの人

街に出ると、80歳前後だと思われる人がかくしゃくとして歩いている姿を目にすることもあれば、まだ70歳になっていないように見える人が弱々しく歩いているのを見かけることもある。

もちろん、健康状態やこれまでの人生はひとそれぞれ。しかし、年を重ねても若々しくいる人にはそれなりの理由がある。

『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』(和田秀樹著、マガジンハウス刊)は、80歳をすぎても生き生きと毎日を楽しむために、今何をすべきかを教えてくれる。

■年齢を理由にやりたいことをあきらめた先にあるもの

70歳が近づいてくると、多くの人が体の衰えを自覚したり、同世代の友達や同年代の芸能人が大病を患うと「自分も気をつけなければ」と、節制に励んだり、これまで以上に健康に気を配ったりするようになる。

もちろん、これ自体はまちがったことではないのだが、その結果が「肉料理が食べたい」と思っても「いや、健康のためには野菜で…」とあきらめたり、「旅行に行きたい」と思いつつ「生活のリズムが乱れる」として断念したりすることだとしたら、それは本末転倒というものだろう。

今の状態をキープするために自分の願望を封じ込めた先にあるのは、健康ではあるかもしれないが快感も幸福感も放棄した生活。過度に健康を気づかった節制は、自ら「老い」を早めることになるかもしれない、と本書は指摘している。今の60代、70代はまだまだアクティブに動ける年代なのだ。

老いはひとくくりにはできません。(中略)70代、80代、あるいは90代にそれぞれのフェーズがあるからです。「もう70過ぎたんだから」と自分を高齢者の枠にくくってしまう必要はありませんし、個人差も当然あります。(P28より)

年齢を理由に欲や願望を諦めるのではなく、いつまでも好きなこと、やってみたいことに忠実に、思うまま生きる。これが、元気で長生きの秘訣の一つなのだろう。80歳、90歳をすぎても元気な人は、決して用心深く生きてきたから元気なわけではないのだ。

まだまだアクティブに生きられる60代、70代だが、それでも若い頃よりは体力も集中力も衰えてはくる。その衰えを嘆くのではなく、逆に若い頃のようにいかないことをおもしろがるくらいの余裕が必要とも本書では説かれている。

不摂生は良くないが、長生きのためにやりたいことを抑え込むのも良くない。「元気に長生き」の秘訣はこの両者の中間のどこかにあるのだろう。

人生を楽しみながら長生きするための心得と方法が解説されている本書。自分の「健康寿命」のために役立ってくれるはずだ。

(新刊JP編集部)

70代で死ぬ人、80代でも元気な人

70代で死ぬ人、80代でも元気な人

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老化を遠ざける、明日からできる「習慣」と「心がけ」

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