だれかに話したくなる本の話

ウェルビーイングを高めるお金の考え方とは

近年、「ウェルビーイング」という考え方が注目されている。
これは「よい(ウェル)状態(ビーイング)」を意味する言葉で、一般的には「幸福」と訳される。
肉体的にも精神的にも健康で、生命の不安もなく安心して暮らすことができ、豊かさと幸福を感じられる状態。そして、そこにはお金の問題も関わってくる。

幸せを多く持つために、お金はどういう役割を果たしていくのか。どのようなお金の使い方がウェルビーイングを高めるのか。

■買う前のワクワクした時間を消費の一部と考える

『ファイナンシャル・ウェルビーイング 幸せになる人のお金の考え方』(青春出版社刊)では、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザーの著者・山崎俊輔氏が、ウェルビーイングの問題のうち、「お金のウェルビーイング」であるファイナンシャル・ウェルビーイングについて考え、ある程度のお金を確保し、現在と未来の不安を軽くし、気持ちよくお金を使って幸福度を高められるヒントを紹介している。

例えば「買い物」。買った瞬間に得られる幸せは、消費の楽しみの一つ。だが、こうした喜びは一瞬で消え去る。また、この種の高揚感は特別な出費でないと得にくいもの。同様に自動引き落としでの買い物にはこうした満足感が得にくいという問題点がある。

ファイナンシャル・ウェルビーイング的には「買う前の幸福」が重要だ。欲しいものがあるけれど、まだ予算が足りないなどでカタログやウェブでの商品評価などを眺める。このワクワクした時間、我慢する時間をその期待感も含めて消費の一部だと考えてみるようにすることで、使ったお金から得られる満足度は一気に上がる。

じっくり悩んで買うかどうか決断することで、買う前、買うとき、買ったあとのウェルビーイングを3倍に高めることができるのだ。

■「いつもとの違い」がウェルビーイングを高める

また、ファイナンシャル・ウェルビーイングの重要なポイントの一つに「満足を買う」というものがある。ただ、日常生活品ほど、無感動な出費であることがほとんど。そこで、お金を使った対価として満足度を向上させるためにやるべきことは「意図的な変化」を自分で自分に仕掛けるのだ。

たとえば、ドラックストアでのいつもの買い物をやめてみる。トイレットペーパーもシャンプーも、いつもと違うものを買ってみる。安いものを買ってみて、「実は安くても満足度は変わらないのか」と明らかにする。逆に、ちょっと高い商品を選んでみると、「いつもより100円高いものを買ったら、こんなに品質が変わるのか」という発見もあるだろう。

この違いの発見が、快楽としてのウェルビーイングを高めてくれるという。

 ◇

年収や貯金額が増えなくても、ウェルビーイングを高めることは可能だという。幸福度は金銭をたくさん使うことで多く得られるのではなく、自分自身の満足度に大きく依存しているからだ。お金と幸せについて本書を通して考えてみてはどうだろう。

(T・N/新刊JP編集部)

ファイナンシャル・ウェルビーイング 幸せになる人のお金の考え方

ファイナンシャル・ウェルビーイング 幸せになる人のお金の考え方

年収が変わらなくても幸せを増やす新しいお金との距離感、発想の転換を提言する。

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T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

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