「嫌いなものは嫌いなまま凍結してもいい」津村記久子さんインタビュー(2)
母親とその再婚相手への反発から、家を出た18歳の姉と8歳の妹。世捨て人のように生きてきた若い男。
津村記久子さんの新作『水車小屋のネネ』(毎日新聞出版刊)は、さまざまな事情から水車小屋のある街にたどりついた人々が、地元の人々に支えられ、そして自分にできることで恩返しをしながらその土地に根を張り、少しずつ自分の人生を切り拓いていく物語。劇的な変化もなければ、価値観を揺さぶるような出会いもない。しかし、そこには人間にとって必要な心の交流がある。
この物語がいかにして構想され、書き上げられたのか。津村記久子さんにお話をうかがった。今回はその後編をお届けする。