『菜根譚』に学ぶビジネスパーソンの処世術
中国の明代末期に洪自誠によって書かれた随筆集『菜根譚』は、400年前に書かれた中国古典の一つだが、実はその内容は現代を生きるビジネスパーソンにも通用するものとなっている。
『菜根譚』の「菜根」とは野菜の根のこと。そして「譚」は話を表す。「菜根譚」は「硬い野菜の根っこも、よく噛めば食することができるように、苦しくつらい環境にいても、耐え忍ぶことによって志を成し遂げることができる」ということを伝えているのだ。
『決定版 菜根譚がマンガで3時間でマスターできる本』(吉田浩著、渡邉義浩監修、つだゆみマンガ、明日香出版社刊)は『菜根譚』をわかりやすく紹介している入門書。1つの項目が見開き2ページ完結となっており、各項目にマンガとまとめフレーズが入っている。
では、『菜根譚』にはどのようなことがつづられているのか。
■準備万端に整えておく
不測の事態が起こり、パニックになってしまった経験は誰にでもあるだろう。そんなときに慌てると、余計に事態を悪化させてしまうもの。菜根譚では「何事もないときは緊急の事態に備えて気を緩めず、有事の際は悠然と落ち着いて対処しなさい」と説いている。
普段からしかるべき準備をきちんとしておくことで、万が一のときでも心にゆとりを持って対応することができるというわけだ。
■人生は持ちつ持たれつ
「人の境遇はさまざま、恵まれている人も恵まれていない人もいる。どうして自分だけが恵まれた境遇でいられるだろう」と菜根譚は説いている。
人生には順調なときも大変な時もある。だからこそ「自分だけが」と考えず、順調なときは人を助けるようにしよう。そして、ピンチのときには、人に助けてもらう。周りの人と持ちつ持たれつで歩んでいくのが、自然な生き方なのだ。
■実感を大切にする
「たとえ立派な書物を読んでも、聖人賢者の心に触れなければ、単なる文字の奴隷のようなものだ」と菜根譚は説く。
理屈ばかりでは成功できない。机上の空論よりも、実際に現場に行き、自分の目で確かめた実感を大切にすることが、実生活でも仕事でも重要だ。
◇
仕事の考え方や人間関係、自分との向き合い方など、日々の生活の中で悩むことは多いはず。ゆとりをもって豊かに日々を過ごすためにも『菜根譚』からヒントをもらってみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)