人生が好転しない人に見られる「脳のクセ」とその直しかた
「いい言葉を使うといいことが起きる」
「口癖を変えると現実が変わる」
これらは、よく自己啓発の本の中で言われること。でも、実際に口癖を意識的にポジティブなものに変えたとしても、そう簡単に人生は変わりません。
口癖を変えても、良い言葉を使っても変わらないのはなぜか。
ビジネスコンサルタントの桑名正典さんは、その原因を「無意識領域」に見出します。
私たちは様々な選択を無意識に行い、行動しています。そして、その無意識の意思決定を生み出す思考のクセを変えることはとても難しいこと。意識的にプラスの口癖を身につけようとしても、無意識の口癖がマイナスのものばかりだと、現実は変わらないのです。
■私たちは「マイナスの感情」を記憶しやすい
「私たちの人生は、潜在意識次第」(p.24より)
『すぐ開運 超潜在意識書き換えルーティン』(WAVE出版刊)の中で、桑名さんはそう述べます。潜在意識とは無意識領域のことです。
潜在意識には、これまで自分が経験したり、学んだりしてきた様々な「記憶」が入っています。そして、この記憶は、性格や意思決定にも影響を与えます。たとえば普段からポジティブな思考をしている人は、潜在意識の中の記憶が成功体験など前向きなものが多いと言えるでしょう。
記憶とは「現実に起こったこと」が定着したものです。その中でも、無意識に刻まれるのは、「特に印象的な記憶」「感情が揺れた記憶」「何度も繰り返し入ってくる記憶」の3つ。実はここにネガティブ沼から抜け出せない原因があります。
桑名さんによれば、私たちの脳は危険を避けるため、マイナスの出来事に影響されやすく、マイナスの記憶がどうしても残りがちです。
だから、潜在意識をマイナスからプラスのものに変えるためには、「マイナスの記憶の影響」をなくすことに取り組み、無意識的にマイナスの選択をしていく要因をなくしていくことが大切です。
■人生を好転させるために、どう潜在意識に働きかければいい?
潜在意識の中にはマイナスだけでなくプラスの記憶もあります。
ただ、ある出来事に対し、その出来事に関する記憶がプラスとマイナスどちらの記憶もある場合、潜在意識はマイナスの記憶を優先的に選択するといいます。だから、まずはマイナスを選択する機会を少なくしなくてはいけません。
そこで桑名さんがすすめているのが「感情のクリーニング」です。
①白紙とボールペンを用意する
②負の感情を思い出しながら、白紙にグルグルと円を描くように書きなぐる
③すべて一通りに終えたら紙をビリビリに破り、できれば火で燃やす。また、水に溶ける紙があるので、それを買ってきてその用紙に書き出し、最後は水に流す
このワークに何度も取り組むことで、自分の感情を「クリーニング」していくことができます。
また、「ダメな自分」の記憶も潜在意識にたくさん詰まっています。この「自分の中のネガティブな自分」や「情けない自分」に対する思い込みも変えていく必要があります。 そのためにやるべきことは「その自分をゆるす」ということ。
「ゆるす」とは「赦し」のことで、ネガティブでダメな自分を受け入れるのです。ダメな自分をなくそうとしない。丸ごと認め、「私は今のそのままの自分が素晴らしいということにします」と毎日つぶやき、マイナスの感情が出てきたら前述の「感情のクリーニング」を行う。
これに取り組むことで、少しずつ「自分が否定しているダメな自分の記憶」の影響力が少なくなってくると桑名さんは述べます。
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本書は「マイナスの記憶」の影響をなくし、「プラスの記憶」の増やし方を伝授する一冊。脳のクセを変え、人生を好転させるための44のルーティンが紹介されています。
一度こびりついたクセはなかなか取ることはできません。それは思考のクセも同じ。だからこそ、根気強くルーティンに取り組む必要があります。それができたなら、今までのネガティブな自分から脱皮し、理想の自分へと近づけるのかもしれません。
(新刊JP編集部)