4年間密着取材した番記者が見る大谷翔平
投手と打者の二刀流で2022年も大活躍したメジャー・リーグ、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手。投手としては自身メジャー・リーグ最多となる15勝、打者としては2年連続の30本塁打も達成。そして、メージャー・リーグ史上初の同一シーズンでの規定打席&規定投球回のダブル達成など、伝説のメジャーリーガー、ベーブ・ルースと比較されるような記録を残した。
■MLBの歴史を変え続ける男 大谷翔平の幼少期
『SHOーTIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男』(ジェフ・フレッチャー著、タカ大丸訳、徳間書店刊)では、メジャー取材歴24年、エンゼルス番として10年目を迎えたオレンジカウンティー・レジスター紙の記者であるジェフ・フレッチャー氏が、「二刀流の史上最高のメジャーリーガーは、どのようにして生まれたのか?」「なぜ、大谷翔平はメジャーで2021年MVPを受賞できたのか?」など、全米が驚嘆した大谷選手の凄さと活躍の秘密をメジャーサイドから解明する。
メジャー120年の歴史を変えるほどの活躍をしている大谷選手は、どのような幼少期を過ごしたのか。大谷選手が生まれ育ったのは岩手県奥州市。父の大谷徹さんは社会人野球の選手で、三菱重工のグループ会社で働きながらプレーしていた。母の加代子さんは、五輪を目指せるレベルのバトミントン選手だった。そんなアスリート夫妻の3人目の子として大谷選手は生まれる。「特別に厳しく育ててはいないはずです。ごく普通の、本当に普通の育て方ですよ」と徹さんは語り、3人の子どもたちを育てたという。
兄の龍太さんと大谷選手は自然の流れで野球をするようになり、徹さんが教えたことといえば、打撃と送球のコツ、そして野球という競技に対する敬意だった。メジャーリーガーになった大谷選手も父から教わったいちばんの教訓は「懸命にプレーすることです」と語っている。
高校に入学するまで地元でプレーし、高校は大谷選手自身が中学時代にチームの動向を注意深く追い、高校入学の段階になると自ら選んで、花巻東高校に入学する。花巻東高校野球部監督の佐々木洋氏は、投げる、打つだけにとどまらない厳格な規則と哲学を持ち込んだ育成プログラムを作り上げていた。
これは、佐々木監督が大学卒業直後に読んだ1冊の自己啓発書がベースとなり、若者たちが野球を通じて人格形成をするためのプログラムだ。大谷選手は高校時代の3年間で、野球の技術向上だけでなく、将来の目標を達成するために何が必要なのか、そして人間性も磨くことになる。
2013年よりエンゼルスを担当し、大谷の取材に関してはMLBルーキーイヤーから4年間にわたり密着取材したジェフ・フレッチャー氏による本書。トミー・ジョン手術によるリハビリなど、メジャーリーグでの大谷選手の活躍の裏側を読むことができる1冊だ。
(T・N/新刊JP編集部)