心の振れ幅を抑える。内田篤人のメンタル術
いよいよ11月20日、FIFAワールドカップカタール2022が開幕する。日本はスペイン、ドイツ、コスタリカと同組のグループEに入り、強豪国と対戦することが決まっている。
日の丸を背負ってプレーする日本代表選手たちは重圧に負けないメンタルをどのようにつくっているのか。
2010年、2014年のワールドカップに2大会連続で日本代表に選出され、レギュラーとして活躍した元プロサッカー選手の内田篤人氏について、長い間代理人として支えた秋山祐輔氏は「メンタルの幹が強い」と評する。
国内外で輝かしい実績を残した内田氏だが、20代後半は膝の怪我のリハビリにも長い時間を費やした。そんな内田氏が実践し続けるメンタル統制メソッドを書きつづっているのが、『ウチダメンタル 心の幹を太くする術』(内田篤人著、幻冬舎刊)だ。
本書では「ウチダメンタル」の入門編として、まず6つのポイントが紹介されている。
1.メンタルは上下で考える
メンタルは「強弱」ではなく、「上下」のイメージで考える。そこで大事なのは、大きく波打たないようにすることだ。感情を抑制することが良いパフォーマンスにつながるという。
2.メンタルは振れ幅で決まる
前述のメンタルの上下の振れ幅を抑えることが、「ウチダメンタル」の根幹だ。感情の波は内田氏にもあるが、それを極力小さく、細かい上下で済ませているという。
3.「心技体」は「グー、チョキ、パー」
グーはチョキに勝てるが、パーには負ける。パーはグーに勝てるが、チョキには負ける…というように、「グー、チョキ、パー」は全部につながって、補い合い、じゃんけんを成立させる。 これは「心技体」にも同じことが言えるという。技術的、コンディション的にいい状態ではないときにメンタルがしっかりしていれば、それを補ってくれるかもしれない。つまり、どれかがいい状態であるとことで勝負ができるという。
4.心の振れが大きい人の3つの特徴
その3つの特徴とは「やらなきゃいけないことを作る」「感情が入りすぎる」「背水の陣で臨みがち」というもの。 例えば、振れ幅を減らすために、ルーティンなど「やること」を増やしてしまう人がいるが、内田氏は逆に考える。振れ幅を少なくするためには、やらないこと、適当沙を身につけることが一番大事だというのだ。
5.振れ幅が少ない人は岡崎慎司
日本代表でも内田氏とプレーをしてきた岡崎選手は、頑固で自分なりのメンタルが確立されているところが、内田氏と似ているという。
6.人を見て知る
人をたくさん見て、経験して、話をする。そして、「ああなりたい」「ああはなりたくない」と感じることが、心の振れ幅を保つためのヒントになると述べる。
内田氏自身も「振れ幅」をなくす「ウチダメンタル」を作っていくことで、人の見方・ものの見方が変わったという。自分の意見や判断、基準そして感覚を持てるようになり、自分なりの見方ができる一助になっていると語る。
本書で解説されているのは世界で活躍するために必要な「メンタル術」だが、私たちでも実践できるものだ。
嫌なことやミスをしたら落ち込んでしまったり、すぐにイライラしてしまうもの。しかし、それで他人に迷惑をかけたり、余計に失敗したりしてしまうこともあるだろう。そうならないために、内田氏のメンタル術を本書から学んでみよう。心の振れ幅を抑えることで、メンタルを安定させることができるはずだ。
(T・N/新刊JP編集部)