だれかに話したくなる本の話

「はじめる動機は不純でいい」成功経営者のビジネス哲学

『創業&経営の大学 ―トップは人たらしであれ』(さくら舎刊)の著者・竹菱康博氏

とかくビジネスでは「何をするか」が重要視されがちで、「何をすれば儲かるか」を経営者や起業家は血眼になって探す。

約半世紀の間、経営の第一線で戦い続けている経営者であり、経営コンサルタントとしての顔も持つ竹菱康博氏の著書『創業&経営の大学 ―トップは人たらしであれ』(さくら舎刊)は、そんな「常識」に一石を投じる。

自身が大切にしてきた経営哲学や、自身が主催する経営者塾で若手経営者に教えていること、これから起業する人に伝えたいことを、経験談を交えて綴るなかで、竹菱氏は「何をするかよりも誰とするか」という「ヒトの重要性」を強調しているが、この考えの根底にある哲学とはどのようなものか。お話をうかがった。

創業&経営の大学 ―トップは人たらしであれ

創業&経営の大学 ―トップは人たらしであれ

会社の繁盛は、論よりトップの人間くささ!

「経営で重要なのはヒト・モノ・カネ。なかでもヒトが一番大事」と経営歴50年の著者は語る。お金がなければ借りるか売り上げを上げればいい。物は仕入れたり作ればいい。だが、人を育て動かすのは手間も時間もかかり、なおかつとても難しい。大学を中退し19歳で起業してから約50年間、著者は事業経営一筋に歩んできた。大儲けもしたが、詐欺に遭いマルサに入られ倒産し、と成功と失敗体験を積みながら、人間力を磨き「人たらし」と呼ばれるまでになった。

本書は起業を目指す人や中小企業経営者に、社長の考え方や覚悟、人の動かし方、経営の極意を語ったもの。「ビジネスにはグレーな部分が必要不可欠」「コミュニケーションで相手の信用度を測る」「自分にできないことができるスタッフを育てる」「経営者はヒマであるべき」「覚悟なくして信じるな」「積極的に開き直れ」「中小企業ほど四半期計画を」「他力と自力のブランディング」など、体験に裏打ちされた話は実践的かつ本音満載でパワフル。「人間くさい経営」がわかる異色の経営指南書!