だれかに話したくなる本の話

92歳の現役総務課長から学ぶ「何歳になっても必要とされる人」の考え方

何歳まで働くか(働けるか?)は今の日本人にとって切実なテーマ。
定年は時代と共に後ろ倒しになる傾向があるが、それでもほとんどの人は70歳前後で勤めをやめる。80代でも働く人はまれだし、90代となるとなおさら。その社会人生活は半世紀上に及ぶ。

■「世界最高齢の総務部員」としてギネス世界記録に認定

『92歳 総務課長の教え』(ダイヤモンド社刊)の著者・玉置泰子さんは「世界最高齢の総務部員」としてギネス世界記録に認定され、今なお現役で仕事を続けている。1930年生まれで、現在勤続66年というとその凄みが伝わるだろうか。

どんなに好きな仕事でも、好きなだけではこの年齢までは続けられない。まず周囲からの信頼がないとこの年齢で雇用されることはありえないし、もちろん実力も伴っていなければならない。定年をとうにすぎても会社から「働いてもらいたい」と思われる秘訣は何か。

■何歳になっても必要とされるための小さな習慣

自分が選んでやることにはモチベーションが高まり、続けやすいですから、学習効果も得やすいのです。(P33より)

玉置さんの仕事への姿勢を特徴づけるのは「何歳になっても新しいものを取り入れたい」という成長への意欲。その意欲は日常の小さな習慣に落とし込まれている。

その一つが「意欲は持っても背伸びはしないこと」。成長に意欲的な人ほど、「一歩一歩着実に」がもどかしく、ツーランク、スリーランク一気にレベルアップしようとしがちだが、これはうまくいかなかった時に「やっぱりだめだ」と諦めてしまいやすい。達成可能性があまりに低いと、挫折して断念という流れになりやすく、結果的に成長につながりにくい。

「ワンランク上を目指していたら、いつの間にかツーランク、スリーランク上に立てているもの」が玉置さんの仕事への考え方だという。

■成長は一人ではなく「みんな」でするもの

玉置さんによると、成長は一人ではなくみんなで一緒にするもの。だから成功体験はできるだけ周囲と共有するという。

一人だけ高みを目指すよりも、みんなと情報共有しながら高みを目指す方が、より短期間で目指す場所に行くことができる。人と人とがアイデアや問題解決法を持ち寄ることで生まれる相乗効果は思っているより大きいもの。同僚を「ライバル」とみなしてあまり自分の仕事について話したがらない人もいるが、長い目で見るとそれは損なことなのかもしれない。

■「給料が安い」と感じたら成長するチャンス

会社員にとって自分の評価は年収に直結するため、常に気になるもの。それだけに、満足のいく給料をもらっていなければ「転職」という選択肢が出てくる。

もちろんそれも一つの選択肢だが、玉置さんは『「給料が安い」と感じたら成長するチャンス』だとして、今いる会社の中で評価を上げる努力をしてからでも転職は遅くないとしている。

もし自分が思っているよりも会社の評価が低いのだとしたら、それは自分の仕事ぶりが自己評価ほどではないのかもしれない。不当な低賃金で従業員を働かせる会社は論外だし、賃金水準は会社によって違う。もちろん転職がいけないわけでもない。ただ、周囲より低い評価、納得いかない評価をもらった時は、自分の仕事ぶりを見つめ直すチャンスでもあるのだ。

本書では玉置さんの仕事への考え方や取り組みがまだまだ紹介されている。
その中には参考になるものもあれば、そうでないものもあるはず。それでも、何歳になっても周囲から必要とされるために必要な考え方や行動は、一読すれば必ず伝わるはずだ。

(新刊J P編集部)

92歳 総務課長の教え

92歳 総務課長の教え

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92歳の現役総務課長が勤続66年で培った、仕事のスムーズな進め方、コミュニケーション力の磨き方、成長するための小さな習慣、失敗を恐れない考え方、上司と部下の作法、さらに100歳まで元気に働くための健康法など、63の秘訣を教えます!

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