だれかに話したくなる本の話

「老い」もまた成長 稲の一生に見る人生訓

『生き物が老いるということ-死と長寿の進化論』(稲垣栄洋著、中央公論新社刊)

どんな人も「老いる」ことからは逃れられない。「老い」とはどういうことなのか。スイスの心理学者ポール・トゥルニエは「人は老いに従うことのみによって、老いを自分のものにすることができる」と言う。

生き物が老いるということ-死と長寿の進化論

生き物が老いるということ-死と長寿の進化論

どうして人間以外の生き物は若返ろうとしないのだろう?
イネにとって老いはまさに米を実らせる、もっとも輝きを持つステージである。人間はどうして実りに目をむけず、いつまでも青々としていようとするのか。実は老いは生物が進化の歴史の中で磨いてきた戦略なのだ。次世代へと命をつなぎながら、私たちの体は老いていくのである。人類はけっして強い生物ではないが、助け合い、そして年寄りの知恵を活かすことによって「長生き」を手に入れたのだ。老化という最強戦略の秘密に迫る。