夢を叶える人がスタート時にやることとは?
なりたい自分がいる。叶えたい夢がある。だけれど、何も行動を起こせていない。どうしたらいいのか分からない。
そんなときは「人生設計マップ」を作ってみよう。
『わくわく人生設計マップ』(幻冬舎刊)は、ド真ん中株式会社CEOの知明氏による一冊で、マンダラチャート(9×9のマスを使って自分の目標とその目標を達成するために必要なものを書き込んでいくチャート)を活用しながら、中心に書かれた目標にコミットメントさせるための方法が書かれている。
メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手が実践していたことから話題を呼んだマンダラチャートだが、知明氏はそれをどのように進化させたのか? お話をうかがった。
(新刊JP編集部)
■目標や夢は「見える化」によって達成に近づく
―まず本書を執筆した経緯からお聞かせください。
知明:大きなきっかけの一つは自分の子どもでした。3年ほど前にそれまでやっていた会社を上場企業にM&Aして、実質アーリーリタイアしたような状態で、今は育児が生活の中心なんです。ただ、父親が働いていない、何で生計を立てているか分からない、友達に聞かれた時に答えられないっていうのは、あまり思わせたくないなと(笑)。そこで、どんな仕事をしているのか本を通して伝えたいと思ったということですね。実は私の子供が3回以上本書に登場しています。探してみてください。
――確かに知明さんの今の人生設計マップを見ると、目標となるところには「最高の父」と書かれていますね。
知明:はい。「最高の父になる」というのが今の人生の夢です。そのためには仕事を楽しもうと思いました。その仕事の一つとして「本を出す」ということが出てきたんです。つまり、最高の父になるために本を出したのです。
――この人生設計マップは、いわゆる「マンダラチャート」と呼ばれるものですよね。9×9マスの真ん中のマスに目標を書き込んで、それを達成するために必要なものを周囲に書いていく。大谷翔平選手の実践で話題になりましたが、知明さんはこのマンダラチャートの有効性についてどのようにお考えですか?
知明:目標や夢を「見える化」できるという点がポイントだと思います。「将来こうなりたい」と思っても、そのためにどうすればいいのかまで考えていなかったり、本気でその夢を目指しているけれど、何が必要なのか落とし込めていない人って多いんです。
マンダラチャートは、目標を達成するために必要な行動を「見える化」できるので、それを人に見せることができるようになる。そうなると、その人からアドバイスをもらえたり、助けをもらえたりできます。
今回タイトルに「設計図」と付けたのも、いろんな人たちの力を借りて夢が叶っていくということと、いろんな専門家が力を合わせて一つのものをつくり上げていくということを重ねたからです。
私は若い頃に建築関係の仕事をしていたのですが、家を建てる時には必ず設計図が必要です。その設計図をもとに、大工さんや左官屋さん、塗装屋さんといった職人さんたちが力を合わせて一つのものをつくり上げていく。夢も同じだと思うんです。設計図をつくって、いろんな人の力を借りながら、叶えていく。
マンダラチャートは元からあるフレームワークですが、自分としては「人生設計マップ」という名前にしたいなと。「マップ」というのは、設計図と冒険の地図という意味です。
――本書の内容として、普通のマンダラチャートとは違う知明さんオリジナルの要素があるとすれば、それはどのような点でしょうか?
知明:設計図という部分ですね。みんなで作っていこう、力を借りていこうという部分。そのために、この設計図を人に見せたり、夢を言っていく。そのことで、自分の夢に対する責任感も増しますし、応援してくれる人のために頑張ろうという気持ちも高まるはずです。
もう一つ、普通のマンダラチャートと違うのは、「わくわくwatchシート」の存在ですね。これは「未来を予習」するためのシートで、2×2のマトリクス表の横軸に「リアル」「マインド」、縦軸に「for me」「for you」と入れて、それぞれ未来の「起こりうること」「感情」を入れます。
――つまり、「こうなっている」という未来を想像して書き込むわけですね。
知明:そうです。ソフトバンクグループ会長の孫正義さんは「予祝」といって、プロジェクトを立ち上げるときに、そのプロジェクトが成功した未来を想像して最初にお祝いをするそうです。事前に祝杯をあげることによって、そのプロジェクトに対するワクワク感が増して、やり遂げようとなるわけです。
この「わくわくwatchシート」はまさにその「予祝」なんです。マンダラチャートに書いた自分の目標が達成されたら、どんな喜びが自分や大切な人たちに訪れるのかということを事前に考えて、ワクワク感を高めていく。そのステップがあることが、オリジナルの部分だと思っています。
――なるほど、モチベーションを高めていく。
知明:そういうことですね。実際、マンダラチャートって書くのが大変じゃないですか。苦労して埋めたからといって、すぐに変化が起こるわけでもないですから、未来に対するワクワク感を感じにくいですよね。だから、この「わくわくwatchシート」を使って、行動の後押しにしてほしいんです。
――本書には知明さんの「人生設計マップ」が掲載されていますが、やはり作った後の人生の進め方に変化はあったのでしょうか?
知明:変わりましたね。私は経営者で、当時はずっと社長をやっていくのだろうと思っていたんです。でも、どれだけ会社に利益が出ても15年、20年先の自分がまったく見えなくて、不安がありました。
でも、この人生設計マップを作ったことによって、ゴールを決めることの重要さに気づいたんです。そして、社長のゴールとは何かと考えたときに「M&A」という選択肢が出てきて、自分の会社を売却したんですよ。
――人生設計マップを通して、自分のゴールが明確になった。
知明:そうですね。自分の決めたゴールに向かって進んでいこうという人生に変わりました。また、人生設計マップには64個の行動基準が書かれていますが、それに対する情報が日々入ってくるようになりました。日常の見え方が変わったし、こんなにヒントって落ちているんだなと。その意味でも、まったく変わりましたね。
(後編に続く)