「自分は何も信じられない人だった」川村元気が新作小説で「信仰」をテーマにした理由
小鳥店を営む檀野家の穏やかな日常は、通り魔事件という悲劇によって終わりを告げた。
息子を殺され、悲しみに暮れる檀野家のもとに、不思議な合唱隊が訪れる。その歌声に次第に救われていく妻と娘。しかし、それは新興宗教だった。
宗教にのめり込んでいく妻・響子を、なんとか救い出そうとする夫・三知男。響子とともに合唱の練習に参加する娘・花音。物語が進むにつれて明かされていく家族の秘密。そして、3人を通して描かれる「神」の正体とは。
『世界から猫が消えたなら』『四月になれば彼女は』『百花』などのベストセラーを発表してきた川村元気さんによる新作小説『神曲』(新潮社刊)は、「目に見えないけれど、そこにあるもの」を信じる気持ちを、「不信」を通して描ききる意欲作だ。
今回、新刊JP編集部は川村元気さんにインタビューを行い、『神曲』に込めた想いについてお話をうかがった。前・後編でお送りする。
(記事・聞き手/金井元貴)