だれかに話したくなる本の話

本当に公平か?「実力主義」の残酷さ

本当に公平か?「実力主義」の残酷さ(*画像はイメージです)

性別や民族、人種によって人生のチャンスに差が生まれたり、経済力に格差が生まれる社会についてどう思うかとたずねられたら、多くの人は「よくない」と答えるはず。

性別差別、人種差別に道徳的な問題があることは、少なくとも今の日本では共通認識になっているし、現にそういった不均衡をなくす方向に(まだまだ道半ばとはいえ)世の中が動いているのは間違いない。

ただ、それが実現した時、誰にとっても平等な社会が訪れるかというと、そうとは限らない。『無理ゲー社会』(橘玲著、小学館刊)は「持てる者と持たざる者」の新しいレイヤーの出現を示唆する。

無理ゲー社会

無理ゲー社会

才能ある者にとってはユートピア、それ以外にとってはディストピア。誰もが「知能と努力」によって成功できるメリトクラシー社会では、知能格差が経済格差に直結する。遺伝ガチャで人生は決まるのか? 絶望の先になにがあるのか? はたして「自由で公正なユートピア」は実現可能なのか──。

13万部を超えるベストセラー『上級国民/下級国民』で現代社会のリアルな分断を描いた著者が、知能格差のタブーに踏み込み、リベラルな社会の「残酷な構造」を解き明かす衝撃作。