始まりはライブで聴いた印象的な曲だった――小説第2作『これはただの夏』を燃え殻さんに聞く(1)
Netflixでの映画化も決定している『ボクたちはみんな大人になれなかった』から4年。燃え殻さんが、ひと夏の印象的な日々を描いた新たな小説『これはただの夏』(新潮社刊)を刊行した。
本書で描かれるのは、テレビ制作会社の仕事に忙殺され、生きづらさを抱えながらなんとなく生きてきた主人公の「ボク」が過ごした、取引先の披露宴で出会った女性・優香、同じマンションに住む小学生の女の子・明菜、末期がんが見つかったテレビ局のディレクター・大関との特別ではない夏の数日間。 出会いと別れは唐突にやってくる。彼らが過ごした、ただの夏の日々。それが、私たち読者の胸を締めつける。もう二度と同じ時間はやってこない。だからこそ愛おしく、そして切ないのかもしれない。
新刊JP編集部は作者の燃え殻さんにこの情緒あふれる物語についてインタビューを行った。今回はその前編だ。
(聞き手・文/金井元貴)