青山繁晴が「女系天皇」に警鐘を鳴らす理由とは?
日本の長い歴史において、その中心にいるのは万世一系といわれる「天皇」だ。
126代にわたって続いてきた天皇という存在は、「私心を捨て、ひとのために生きる」という普遍的な理念を体現する。
そんな天皇の皇位継承について、近年盛んに議論が繰り広げられている。「女性天皇の即位」「女系天皇の容認」といった議論をニュースで見たことがあるだろう。では、女性天皇と女系天皇はどう違うのか?
参議院議員の青山繁晴氏は『誰があなたを護るのか――不安の時代の皇』(ヒロカネプロダクション作画、新田均、日本の尊厳と国益を護る会監修、扶桑社刊)で、マンガを通して「女性天皇と女系天皇はどう違うか」という点をはじめ、天皇とはどんな存在なのかを明らかにしつつ、皇位継承への提言をつづっている。
■女性天皇と女系天皇はどう違うか
「女性天皇のみならず、女系天皇も容認する」という意見が報告書にまとめられたのは、小泉純一郎氏が総理大臣だった2005年のこと。しかし、青山氏は、日本国民は誰ひとり女性天皇と女系天皇がどう違うかを教わったことがないと述べ、このふたつには致命的な違いがあると指摘する。
では、一体何が違うのか。
女系は正確に言えば「母系」といい、日本以外の諸国の王室は母系の皇位継承も行っている。そのため、王朝が変わることがある。イギリスではスチュアート朝、ハノーヴァー朝、そして現王朝のウインザー朝と変わってきた。これは諸外国に嫁いだ王族の子供、子孫も継承権があるということを意味する。
一方で日本は男系、正しくは「父系」によって皇位が継承されてきた。天皇陛下を父に持つ女性がそのまま即位された場合は「女系天皇」ではなく、「女性天皇」となる。ここが「女系天皇」と「女性天皇」の違いだ。
■これまで8人の女性天皇が即位したが…
日本では、これまで推古天皇をはじめ8人の女性天皇が即位したが、前の天皇と次の天皇の中継ぎとして即位していて、婚姻状態で即位をしたり、即位後に結婚をしたり、出産をしたりはしなかった。
青山氏は、仮に女性天皇が即位した場合、結婚をしたり、出産をすると前述の母系への転換が起こる可能性が出てくることを指摘する。
その上で、「女性の陛下に結婚も出産もなさるなという無理なことをお求めするか、日本の根っこをみずから捨てるか」という不毛の選択を迫られることになると警鐘を鳴らす。
「日本の根っこ」とは、「天皇」という変わらない存在のこと。126代にわたって続いてきたその存在を揺るがす議論があることに、青山氏は危機感を抱いているのだ。
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女性天皇と女系天皇の違い。そして日本がこれまでどのように万世一系を紡いできたのか。本書はそれがマンガを通して描かれている。
世の中でなされる議論は、知識や情報が国民にしっかりインプットされないまま進んでいくことが多い。
「なんとなく」の知識や情報で議論に乗っかったり、選択をするのではなく、しっかり調べて考えて、自分なりの結論を出す。それが何よりも重要なことなのだろう。
(新刊JP編集部)