だれかに話したくなる本の話

どんな本を読めばいいか分からないという人に 齋藤孝が教養を深めるための本を選定

「たとえ人生があと一日しかないとしても、今日、教養を深めたい」と思うのが人間らしい生き方だと述べるのは、明治大学文学部教授の齋藤孝氏だ。

教養はその人の知性や品格、人間性を高めるもの。そこで教養を深めるための手段として効果的なのが読書だ。

人類はこれまでどんな危機に見舞われ、どうやって乗り越えてきたのか?
世界はこれからどうなっていくのか?
ストレスの発散方法は?
こういった大きな話から個人的な悩みまで、さまざまな疑問を読書は受け止めてくれる。

ただ、どんな本を読めばいいのか、膨大な書物の中から選ぶのは難しい。そんな人のために、齋藤氏がおすすめ本を題材に、変化の時代に必要な教養が自然に身につくきっかけとなるように読み解いていくのが、『何のために本を読むのか』(青春出版社刊)だ。

■齋藤孝がおすすめする本とその読み方

ものの見方や考え方が変わったり、視野を広くしてくれる一冊として本書で取り上げられているのが『ロウソクの科学』だ。著者は、電磁誘導の法則や電気分解の法則(ファラデーの法則)、ベンゼンや塩素の液化法などを発見した科学者のマイケル・ファラデーである。

この本は、ファラデーが70歳のクリスマス休暇のときに、王立研究所で催された6回に及ぶ講演をまとめた。貴族をはじめ、一般市民まで老若男女が参加したため、子どもにも科学に興味を持ってもらえるように、あらゆる人々に身近なロウソクを題材にしたのだ。

「なぜ炎は上に向かって伸びるのか?」「なぜロウソクの炎は明るく輝くのか?」という当たり前に思っていることに、「なぜ?」という疑問を持ち、仮説を立てて、自然科学的な視点で解明していく。
日常の現象や不思議を、数式などを使わずに理解させてくれるので、文系の人には、とくにおすすめだと齋藤氏は述べる。

読書は苦手、字を読むのに疲れた、という人には、『ピアノの森』(一色まこと作、講談社モーニングKC))や『へうげもの』(山田芳裕作、講談社モーニングKC)といった漫画も紹介されているので、こちらから楽しんでみるのもいいだろう。

本書をきっかけに読書をしてみてはどうだろう。世界の見え方やニュースの見え方も今までとは変わって見えるはずだ。

(T・N/新刊JP編集部)

何のために本を読むのか

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T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

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