フリーランス成功のカギ「没頭できること」の見つけ方
いつかは会社を辞めて、フリーランスとして独立したい。あるいはフリーランスとして副収入を稼ぎたい。など、「フリーランス」としての働き方への需要は多い。
しかし、「フリーランスとして何をするのか」と考えはじめると、とたんに「自分には特別なキャリアもスキルもない」と尻込みしてしまう。そんな人に向けて「諦める必要はない」と説き、強みの見つけ方や、その強みを商品化するための方法を明かしているのが『愛されフリーランスのすすめ 楽しく働いて仕事が途切れない私になる4つのルール』(幻冬舎刊)だ。
今回は著者の仙道達也さんにインタビュー。フリーランスとして安定して仕事をしていくために必要なことや注意点についてお話をうかがった。後編ではフリーランスとして成功するために必要な要素について語っていただいた。
■フリーランスで成功するには「没頭できること」を探せ
――本書では「没頭できるものがある人」がフリーランスとして成功すると書かれていました。仙道さんにとってのそれがコンサルティングだったのだと思いますが、「没頭できるもの」がないという人でも、見つけられるのでしょうか?
仙道:見つけられます。もし見つからないとしたら、要因は2つあって、1つは「情報不足」です。どんな人だって世の中の職業を全部知っているわけじゃないですよね。もちろん、趣味や遊びについてもそうです。そういう情報を細かく取りに行っていないと、「これなら自分もできそう」という可能性を見つけにくいんです。
もう1つは、自分で「ハードル」を上げてしまうことです。せっかくアイデアがあって、没頭できることなのに「こんなのでは稼げない」と決めつけてしまう。僕のところに相談に来る方はこのパターンが多いですね。
――自分が考えつくことなんて、他の人も考えるだろうと。
仙道:そうです。まあ、僕も最初はそうでしたけどね。
――「没頭できること」を見つけるためのアドバイスをいただきたいです。
仙道:まず「過去」を基準に考えず、一度ゼロベースで「将来やりたいこと」を探してみることです。過去を基準にしている限り、可能性は狭まるので。
過去の実績やキャリアは関係なく、「未来側」の視点から考えてみて、そこで出てきた「やりたいこと」や「なりたい自分」を実現するための段階を思い描く方が、「没頭できること」は見つかりやすいと思いますし、何より自己実現を目指すのってパワーが出るしクリエイティブになれるんですよね。
フリーランスの世界に「ここまでのレベルにならないといけない」という一般的なラインは存在しません。資格が必要な一部の仕事は除くとして、基本的には顧客が満足すればいいわけですから。少なくともキャリアや実績がないと無理というわけではないことは知っていただきたいですね。
――会社員の方がフリーランスになる場合、会社員時代に培ったスキルやノウハウをもとに仕事をしていくことが多いのでしょうか。
仙道:そういう方もいますが、かならずしも会社員時代の経験をそのまま生かしてフリーランスになるわけではありません。営業マンだった方が婚活アドバイザーとして成功した例もありますし、ホテルマンがコンサルタントとして活躍している例もあります。
もちろん、使えるキャリアは使った方がいいのですが、「過去こういうことをやってきたから、その経験を使って何かやろう」というように、自分の経験の延長線上で考えるだけだと、自分の可能性を狭めてしまいます。フリーランスとしてどんなことをやるかを考える時は、あくまで「やりたいこと」が第一の視点であるべきだとは思いますね。
――仙道さんは「フリーランスとして愛される」ことに軸足をおいたコンサルティングや支援をされています。これは具体的にどんな支援になるのでしょうか。
仙道:大きく分けて3つあります。1つは、平凡なキャリアであったり、キャリアらしいキャリアがない方が自分の強みや情熱を傾けられることを見つけて、フリーランスとしての活動をスタートする支援です。強みや情熱を見つけて、それを商品化する支援ですね。
2つ目はウェブ上でのブランディングや集客の仕組みを作ることです。短期間でお客さんを獲得するお手伝いになります。
3つ目が、フリーランスとして活動したいのに行動を起こせない人が抱えている心理的なブロックを外すことです。ブロックには色々あって、「自分なんかがお金をいただいてはいけない」という思い込みのブロックもありますし、「パソコン操作が苦手だから自分にはウェブを使った集客は無理」というブロックもあります。あとは「情報発信が怖い」というのもありますね。
――どういうプロセスを経て強みを見つけるのでしょうか。
仙道:色々なフレームワークを使っていますが、まずは「やりたいことを見つけるための19の質問」というものに答えていただいて、それを元にキャリアの棚卸と徹底的な自己分析をしていただいています。
ただ、それは「過去」の視点でしかないので、それにプラスして脳科学や認知科学を利用したワークを使ってゼロベースでやりたいことを考えていただくという流れです。
――最後に、これからフリーランスとしてやっていきたい人、すでにフリーランスになったものの、あまりうまくいっていない人に向けてメッセージやアドバイスをお願いいたします。
仙道:まずはフリーランスになるにあたって「お金を稼がないといけない」という常識のブレーキを外していただきたいです。稼がないといけないと思うと行動を起こすのがおっくうになってしまいます。
「稼ぐ」よりも先に、「やりたいこと」をゼロベースで考えて複数挙げてみてください。ここはぜひ「自己中」にやっていただいて、これまで見えてこなかった自分の新しい可能性をたくさん探していただきたいです。
それから、「やりたいこと」に社会性を持たせるためにどうすればいいか、自己満足で終わらせないためにどうすればいいかを考えていく方が、エネルギーが乗りやすいのではないかと思います。人間って、一方的にやりたいことをやるだけだと、どこか後ろめたい気持ちになってしまうものです。自分がやりたいことをやることで、顧客が喜んでくれる、というのを目標にしていただきたいですね。
(新刊JP編集部)