本書は『戦わない経営』で知られる浜口隆則氏の3冊目の著作である。
「経営は戦いである」という経営のイメージを根本から打ち崩し、戦わずしてそのポジションでトップになれる経営、つまり「戦わない経営」を提唱した『戦わない経営』は読者に大きな感動を与えた。
ただ、1つ思うに、『戦わない経営』が多くの読者に受け入れられた理由は、そうした脱競争的な経営戦略の部分だけではなく、浜口氏の考える「経営のあり方」そのものが、多くの読者に感動を与えたのだと思う。それは「愛される会社」という氏の言葉に代表される通り、「儲け主義」に走りすぎた会社社会の疲弊しきった現場が見ている「理想郷」であるのかも知れない。
さて、本書は経営戦略の本ではなく、言うなれば自己啓発の本である。
まず冒頭で浜口氏はこう述べる。
「ニワトリに育てられたタカは、飛べなくなってしまうそうです」
何故か、それは飛べないという「思い込み」を持ってしまっているからだ。
「思い込み」。それは人を大きく成長させる原動力になるものだ。しかし、一方で、例のニワトリのように「できない」と自分を不利な状況に追い込んでいくマイナスの種になることもある。
もちろんプラスの思い込みなら良いが、なかなかそういうケースはない。私たちは多々、マイナス面の「思い込み」に縛られてしまうことが多い。
では、「思い込み」を克服し、自分に眠る本当の力を引き出すにはどうすれば良いのか。浜口氏は【ストーリー】という印象的な短い物語を引き合いにしながら、自分自身を変えていくための「思考法」を読者に教えてくれる。
本書を読み、前向きになれるかどうかは読者次第だろう。しかし、現状に閉塞感を覚えている人々に、そこから抜け出す方法のヒントを与えてくれる1冊だ。









