世の中にはあんな本やこんな本、いろんな本がある。そのテーマも十人十色。 「感
動したい本が読みたい!」「思いっきり怖い本を味わいたい」と思っても、 どんな本
を選べばいいのか分からない! とお悩みの方も多いはずでは? そんなときにあ
なたの味方になるのが書店員さんたちだ。 本のソムリエ、コンシェルジュとしてあ
なたを本の世界に誘ってくれる書店員。 そんな彼らに、テーマごとにお勧めしたい
本を3冊答えてもらった。
『第四の手(上・下)』
選んだ理由・読みどころ
高校生の頃初めて『ホテル・ニューハンプシャー』を読んで、映画で『ガープの世界』を見ていた頃、外国人の有名な作家は全員故人だと思い込んでいた私は、その後アーヴィングが存命と知り驚いたが、他にも“生きている”大御所作家は沢山いた…。しかし、それでもこのボリュームで次々と生きた新作を繰り出してくる彼は凄いし、そして、やはりその物語を同時代人として手に取る機会があることは大事だし、幸せだ。文庫前作『サーカスの息子』の暑苦しい空気から一転、静かだけれど波乱万丈なロマンティックコメディ。
ああ、また新作出たのですね。”Last Night in Twisted River”、邦訳楽しみにしています。
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『第四の手(上・下)』
著者:ジョン・アーヴィング/翻訳:小川高義
出版社:新潮社
定価(税込み):(上巻)499円、(下巻)539円
『プロジェクト宮殿』
選んだ理由・読みどころ
この書籍のことは09年5月の文芸誌『群像』に組まれていた海外文学の特集で知り、当時未訳だったところからギリギリ年内に刊行されました。
現代美術家のカバコフ夫妻によるインスタレーションのカタログで、「幸せになるために」をテーマにした生活上の工夫を再現したミニチュアの企画書がいくつも収録されています。
今様に言えばライフハックですが、収録されたプロジェクトの荒唐無稽さを見ていくとむしろ「ドラえもん」の便利道具によって想像力が刺激される感覚に近いものを感じます。
プロジェクトの内容云々よりも、ドラえもん的未来にいやらしさを感じてしまう大人の読みかたから離れて、企画倒れを恐れないことが幸福に繋がっているということを発見できた良著でした。
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『プロジェクト宮殿』
著者:イリヤ・カバコフ/翻訳:鴻野わか菜、古賀義顕
出版社:国書刊行会
定価(税込み):3150円
『幼女と煙草』
選んだ理由・読みどころ
煙草のおかげで助かった男と悪夢へ引きずり込まれた男の話。そんなバカな。と思っていてもどこか気が気でない。そわそわしてしまう。信じていたものが裏切られ、自分の価値観が通用しない。考えてみればこれほど心細いことはないのでなないだろうか。それがたった1本の煙草が原因だなんて、笑ってしまうしか方法がない。
だけど、読んでいる側の笑いは力弱い。風刺のような、悪く言えば悪ふざけみたいだけど、イメージだけで決めつけてしまう世界は怖い。だけど、僕は煙草を吸う。この本は煙草が好きな人にこそ読んでほしい。
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『幼女と煙草』
著者:ブノワ・デュトゥールトゥル/翻訳:赤星絵理
出版社:早川書房
定価(税込み):1680円