新刊ラジオ第1730回 「寄居虫女」
平凡な家庭の皆川家。その家族を恐怖の女が食らいつくす!
最愛の息子・智未を事故で亡くした皆川留美子は、玄関先で薄汚れた少年と出会う。
名前は朋巳……同じ名前の読みに運命を感じた留美子は、その少年を家に匿うことを決意する。歪んでいながらも取り戻した憩いのひととき……。
しかし、朋巳の母を名乗る異様な女・山口葉月が現れたことで、皆川家の様子が豹変する――!
読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました
概要
こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。
本作は、新刊ラジオ第1690回でご紹介しました『ホーンテッド・キャンパス』の著者・櫛木理宇さんの最新作です。
『ホーンテッド・キャンパス』はホラーというよりもオカルトに青春や恋愛要素を加えた内容でしたが、今回の『寄居虫女』はオカルト要素が一切ないサスペンスとなっています。
いったいどんな物語なのか、中身を見ていきましょう。
平凡な家庭である皆川家。主婦である皆川留美子は、末っ子で長男の智未を事故で亡くしてからというもの、気力をなくし鬱屈とした日々を過ごしていました。
残されたのは、夫の孝治、長女の琴美、次女の美海、三女の亜由美。
しかし、留美子が唯一愛情を注いでいたのは智未だけでした。
ある日、玄関先で掃除をしていると、死んだ息子と同じ年頃の、薄汚れた恰好をした少年が立っていました。
しかもその少年の名前は朋巳。
息子の名前と同じ読み方。
留美子はその少年に息子を重ねてしまい、両親が見つかるまでという口実を盾に、家で匿います。
そして後日、朋巳を追って一人の女性が姿を現します。
白いワンピースにレースの手袋、白い日傘、舞台化粧のように顔を白く塗りたくり、まるで能面のようにも見える異様な女性。
彼女は山口葉月と名乗り、朋巳の母親だと言います。そして、行くあてがないと留美子に相談し、いつのまにか家に入り込んでいきます。
彼女はいったい何者なのか――。
それでは、物語の一部をドラマにしましたので、どうぞ本編をお聴きください。
◆著者プロフィール 櫛木さんは1972年新潟生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞してデビュー。 同年、『赤と白』で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成しました。
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