あらすじはこんな感じ。
いたずらをしてお母さんに怒られた主人公マックスが、一年以上の長い航海の末に怪獣の住んでいるところへ辿りつく。そしてそこで王様になる。かいじゅうたちと遊んだり踊ったり、すごく楽しいのに、ある人が恋しくなって、マックスは帰る決意をする。そして家に帰る…。
日本では1975年に発売され、100万部をすでに突破。しかし1963年にアメリカで発売された当初はあまり評判が良くなかったそう。母親に反抗した子供が旅にでる、という内容に対して、教育者や図書館関係者が「子供の反抗を認める考えはよくない」と図書館に置くのを排除しようとしたのです。それでも、『かいじゅうたちのいるところ』が世界中に広まっていったのは「子供たちがこの絵本が好きだからです」と日本語訳を出版している冨山房・坂本さんは話します。
30年以上売れ続ける人気の秘密は何か?という問いに対しては「いつの時代の子供にも愛されるから」というのが主な理由だと言います。今、日本には3世代の読者がいます。40代半ば過ぎた人でも、自分の親に買ってもらった経験があるはず。自分の子供のために買うこともあるでしょう。「そういったことが世界中で起きているのではないかと思います」とのこと。
最近では、オバマ大統領が昨年の復活祭で集まった子供たちに『かいじゅうたちのいるところ』の読み聞かせを行いました。大統領も子供の時に読んだのかもしれません。
子供だけでなく、大人も楽しめる一冊。センダックの描く、黄色い目をした一見奇妙なかいじゅうたちは、読んでいるうちに愛らしく見えてくるから不思議。ページをめくるごとに読む人を物語の世界へ引き込んでいく。かいじゅうおどりのシーンは特に圧巻!そして現実に戻り、母親の愛情に気づく。「読んでいる子供はそこまで考えていないと思いますが、家に帰って自分の眠るベッドがあり、温かい食事が用意されている、ということにほっとすると思います」と坂本さん。冒険、かいじゅう、お母さん、と子供が好きな要素がたくさん入った、心温まる絵本なのです。
そして『かいじゅうたちにいるところ』を読んで他のモーリス・センダックの作品が気になった人にお勧めの作品を紹介します。
『まよなかのだいどころ』(冨山房)
真夜中の台所に迷い込んだ男の子ミッキーはミルクを間違えられてケーキの生地の中に混ぜ込まれてしまいます。再びベッドに戻るまでのミッキーの大冒険。
『まどのそとのそのまたむこう』(福音館書店)

小さな女の子アイダはゴブリンに誘拐された妹を探しに、まどのそとのそのまたむこうへと出ていきます。他2作より、宗教色の濃い、神秘性のある作品。
『かいじゅうたちのいるところ』を含め、三冊でモーリス・センダックの三部作と言われています。センダックの描く空想の世界を体験してみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部/川口絵里子)









