人を惹きつける話し方ができる人に共通する「意味の含有率」とは
日常的な会話や少人数のコミュニケーションではなく、多人数に向けて話す際、どうすれば人をひきつけられるような話し方ができるのか。
きちんと人をひきつける話ができるようになる有効なトレーニング法を教えてくれるのが、『人をひきつける 「頭のいい人」の話す力』(齋藤孝著、大和書房刊)だ。
◾️人前で話す時に注意すべき「意味の含有率」とは
本書では、明治大学文学部教授の齋藤孝氏が、人をひきつける話す力とは何か、頭のいい人の話し方、深い話ができるようになるためのトレーニング法を紹介する。
「いい話だなあ」と思うのは「意味の含有率」が高い話と、齋藤氏は述べる。これは時間ごとに意味がどれくらい含まれているかということだ。ただ、自分が話すとなると、この意味の含有率の意識が低くなってしまうことが多い。話すときには、意味の含有率に対して意識を持っているかいないかで大きな違いが出る。まず「言っている話にそもそも意味はあるのか」というポイントから考えることが重要となる。
意味の含有率の感覚を高める第一歩は、自己チェック機能を持つこと。自分の話していることに「もしかしたら意味がないんじゃないか」という不安を持つことだ。齋藤氏は、話に意味を詰め込むトレーニングのために、学生に15秒間のプレゼンテーションをしてもらうという。15秒という短い時間で話そうとすると、頭を速く回転させて大事なポイントを落とさず、きちんと通じる日本語になるように話さなくてはならない。意味を詰め込む感覚を実感できるので、話すことのいい基礎訓練になるのだ。
パブリックな場では、その話にどれだけ意味が込められているかで、話の評価が決まってくるので、意味の含有率が高いかどうかを常にチェックすることが重要となる。
また、人はひきつけられ、納得する話の条件が、共感できる話であるということ。それまで漠然と考えていたことが、他人からはっきりと口に出してもらうことで、「ああ、そういうことか、あるある」と共感してすっきりする。この共感の喜びがあると、「この人の話はおもしろい」ということになる。
共感を呼ばない話とは、話し手の独りよがりな話で、他人にとってはまったくおもしろくない。聞き手に「ある、ある」感覚呼び起こせば、話し手と聞き手の心理的距離感が近づく。その後の話に対する納得度が飛躍的に高まるのだ。
うまく伝えようとしてかえって話が長くなってしまったり、大勢の人の前で話すことが苦手という人は、本書から人を「ひきつける話す力」を身につけるためのトレーニングを実践してみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)